浜松市 内科・消化器科
フローラル クリニック


尿検査
 
尿検査は短時間に多くの情報を得ることの出来る検査です。
検査項目にもよりますが、一般的に朝起きてから一番最初の尿が検査に最も適しているとされています。

項目
検査の説明
おもな疾患
白血球
尿検査で白血球陽性ということは膀胱・尿管・腎盂などでの細菌感染が疑われます。  尿路感染症など
潜血
この検査は赤血球内にあるヘモグロビン(血色素)をみる検査です。
したがって、腎・膀胱・尿管などの尿路にキズがついたり、炎症・腫瘍などによって尿中に赤血球が出現すると潜血は陽性を示します。
また、溶血性貧血のように、血管内で赤血球が壊れてヘモグロビンが尿中に出現しても尿検査で潜血は陽性となります。
また、筋肉中にあるミオグロビンというタンパクもこの検査で反応するので、筋肉が壊れるような疾患(心筋梗塞など)でも陽性となります。
腎・膀胱・尿道・前立腺の炎症、腫瘍、結石など      
発作性夜間血色素尿症、溶血性貧血など
心筋梗塞など
蛋白 

尿タンパクは健康な人でもわずかに出現しています。健康な人でも、タンパク質を多く摂取したり、激しい運動や過労などによっても一時的に出現します。
病的タンパク尿は大きく分けて腎前性、腎性・腎後性に分けられます。
腎前性とは、腎以外の臓器の疾患によってタンパク尿が出現することです。
腎性とは、腎疾患によって出現するタンパク尿です。
腎後性とは、腎盂、尿管膀胱などの炎症や腫瘍によって血液などが尿に混ざることによって出現するタンパク尿です。

腎炎、心不全、発熱、過労など

健康な人でも試験紙では反応しない程度の糖は尿中にでています。
また、健康な人でも一度に大量の糖を摂取すると尿中に糖が出現することもあります。
尿中に糖が出現すると多くの人が糖尿病を思い浮かべますが、腎疾患のように血糖は正常でも糖を腎臓で再吸収する能力が低下しても出現します。

糖尿病、腎疾患など
ウロビリノーゲン

ウロビリノーゲンは健康な人でも一定量は尿中に出現します。
ウロビリノーゲンはビリルビンという物質から小腸や大腸で作られ、その多くは便中に含まれ排泄されますが、一部は血液中に戻り、尿中に排泄されたり、肝臓に取りこまれ胆汁中に排泄されます。
よって、腸閉塞やひどい便秘のときは便からウロビリノーゲンが排泄されないため血液中に戻るウロビリノーゲンの量が増加するため陽性となります。
肝機能障害時は、肝臓に取りこまれたウロビリノーゲンがうまく処理できずに血液中にもどってしまうため陽性を示します。
溶血性貧血などの溶血性疾患ではウロビリノーゲンの材料であるビリルビンが増加するため陽性を示します。
また、ウロビリノーゲンは上記に示しました陽性を示す状態も重要ですが、陰性を示す疾患(胆道閉塞・重症肝障害など)も重要です。
しかし、尿のスクリーニングで実施している試験紙では陰性は判断できません。ですので、ここでは陽性の解説のみ記載しました。

肝機能障害、腸閉塞、溶血亢進時
(溶血性貧血など)
ケトン体

ケトン体は脂肪を分解して出来るエネルギー源です。ケトン体が増加するということは、糖がエネルギー源として使用されていないということです。

糖尿病、長期絶食、嘔吐、下痢、過剰脂肪食など
PH

もともと尿は弱酸性(PH6.0)くらいですが、摂取した食べ物によってPH4.5〜8.0の間を変動します。
一般的に動物性食品を摂取すると酸性に傾き、植物性食品を摂取するとアルカリ性に傾きます。
また、尿路感染症のように尿中に細菌が繁殖していると、細菌が尿中の尿素という物質をアンモニアに変えるため、アルカリ性になります。

アルカリ性:尿路感染症、過呼吸、嘔吐など
酸性:発熱、脱水、飢餓、腎炎、糖尿病、痛風など
比重
尿比重とは、尿中に存在する固形成分を示すもので、健康な人では塩分と尿素という物質の量によって影響を受けます。
また尿中のタンパクや糖の影響も受けます。
一般的に健康な人では1.005〜1.030の間を変動します。
 
尿沈渣
尿沈渣とは尿中に含まれている細胞・血球・細菌などを染色液と呼ばれる液体で色付けして顕微鏡でみる検査です。
この検査によって異常な細胞の有無、血球数などを確認します。
腎・尿路疾患の程度を知る上でとても重要な検査の一つです。
健康な人でも赤血球や白血球、上皮細胞と呼ばれる細胞は少数認められることがあります。
尿路感染症・腎疾患など